今回は、悪徳商法を撃退するクーリングオフについて、考えます。
1 クーリングオフって何?
「クーリングオフ」という言葉を聞いたことはありますか? 急に自宅に来たセールスマンに勧められて浄水器を買ったのだけど、よく考えたら要らなかった。あるいは、「マイナスイオン」が出て体にいい、と言われたけど、効果に疑問がある、と言うことはありませんか? そういう場合に契約を解約して買った物を返せる制度です。
2 どんな場合に使えるの?
クーリングオフできる契約形態が決まっています。訪問販売や電話で勧誘されて買ってしまった場合などです。以下にクーリングオフできる期間と共に、表にまとめてみました。
取引形態 | 具体的には | 期 間 |
---|---|---|
訪問販売 | 自宅に訪問してきた販売員と契約 | 8日間 |
電話勧誘販売 | 電話で勧誘され、直接セールスマンと会うことなく契約 | 8日間 |
連鎖販売取引 | 販売員に次の販売員を獲得させるという形で販売組織を連鎖的に拡大させていくもの | 20日間 |
特定継続的役務 | 英会話スクールやエステティックサロンなどで、長期間契約をした場合 | 8日間 |
業務提供誘因販売 | 「内職をしませんか」などともちかけて、仕事に必要だからとパソコンや呉服などを販売する | 20日間 |
また、通信販売も消費者にとって不意 打ちではないので、適用されません。但し、通信販売では、返品できるかどうか、できるのであれば期間や方法、送料はどちらが負担するかなどを、広告に明記するように義務付けられています。
3 理由不要で、契約を解除できる
クーリングオフは、「考え直したら、解約したい」ということだけでいいのです。「品物が考えたものと違った」とか「説明を受けた効能が実感できない」などの理由は、あってもなくてもいいのです。とにかく「考え直したら、要らな い」、というだけで、解約できます。
4 期間は8日間あるいは20日間
上の表をご覧ください。 業者から書面(申込書あるいは契約書)をもらった日から数えます。8日間、あるいは20日間の間に、解約の書面を発信すればよく、業者に到達しなくてもいいことになっています。業者の同意も不要です。
電話など口頭でのクーリングオフも、有効との判例もあります。しかし、相手の業者と、「言った」「言わない」との水掛け論となってしまうと面倒です。文書で、できれば内容証明郵便で出すのが一番です。比較的短期間ですので、思い直してやっぱり要らないと思ったら、すぐに書面を出しましょう。
但し、業者の書面が不備であったり、クーリングオフを妨害する行為(この契約はクーリングオフできないと脅かされたなど)があったような場合には、この期間が伸びることもありますので、あきらめずに、ご相談頂ければと思います。
5 消耗品の場合
健康食品や化粧品など政令で指定された消耗品の場合には、使用するとクーリ ングオフできなくなります。但し、契約書面にその旨書かれていることが必要です。また、セールスマンが使い方の説明など のために、開封して使用した場 合など、消費者が自分の判断で使用したのではない場合には クーリングオフできます。また、例えば化粧水を3本買って、1本だけ使った、という場合には、期間内であれば、残り2本はクーリングオフできます。
6 クーリングオフすると
業者は受け取った代金をすみやかに返金することとされています。消費者は、受領した商品について、業者負担で送り返すことができます。このようにクーリングオフは、消費者の強い味方なのです。